情熱の行政書士 小中恵介ブログ [KEISUKE KONAKA’S BLOG]

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指値発注は建設業法に違反するおそれ

(1)指値発注は建設業法に違反するおそれ
 指値発注は、元請負人としての地位の不当利用に当たるものと考えられ、下請代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」(12ページ「3.不当に低い請負代金」参照)に満たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。

 元請負人が下請負人に対して示した工期が、通常の工期に比べて著しく短いなど厳しい工期である場合には、下請工事を施工するために「通常必要と認められる原価」は、元請負人が示した厳しい工期で下請工事を完成させることを前提として算定されるべきである。

 元請負人が、通常の工期を前提とした下請代金の額で指値をした上で厳しい工期で下請工事を完成させることにより、下請代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」(12ページ「3.不当に低い請負代金」参照)を下回る場合には、建設業法第19条の3に違反するおそれがある。

 また、下請負人が元請負人が指値した額で下請契約を締結するか否かを判断する期間を与えることなく、回答を求める行為については、建設業法第20条第3項の見積りを行うための一定期間の確保に違反する(2ページ「1.見積条件の提示」参照)。

 さらに、元請下請間において請負代金の額の合意が得られず、このことにより契約書面の取り交わしが行われていない段階で、元請負人が下請負人に対し下請工事の施工を強要し、その後に下請代金の額を元請負人の指値により一方的に決定する行為は、建設業法第19条第1項に違反する(4ページ「2.書面による契約締結」参照)。

 なお、上記に該当しない場合についても、指値発注は、その情状によっては、建設業法第28条第1項第2号の請負契約に関する不誠実な行為に該当するおそれがある。