情熱の行政書士 小中恵介ブログ [KEISUKE KONAKA’S BLOG]

業界情報、法令改正情報・解説 [KEISUKE KONAKA’S BLOG]

法令遵守ガイドライン/2.書面による契約締結

2.書面による契約締結
2-1 当初契約(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3)

-------------------------------

【建設業法上違反となる行為事例】
1下請工事に関し、書面による契約を行わなかった場合
2下請工事に関し、建設業法第19条第1項の必要記載事項を満たさない契約書面を
交付した場合
3元請負人からの指示に従い下請負人が書面による請負契約の締結前に工事に着手
し、工事の施工途中又は工事終了後に契約書面を相互に交付した場合

-------------------------------

上記1から3のケースは、いずれも建設業法第19条第1項に違反する。

(1)契約は下請工事の着工前に書面により行うことが必要

建設工事の請負契約の当事者である元請負人と下請負人は、対等な立場で契約 すべきであり、建設業法第19条第1項により定められた下記(2)の1から14 までの14の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなけれ ばならないこととなっている。

契約書面の交付については、災害時等でやむを得ない場合を除き、原則として 下請工事の着工前に行わなければならない。

建設業法19条第1項において、建設工事の請負契約の当事者に、契約の締結 に際して契約内容を書面に記載し相互に交付すべきことを求めているのは、請負 契約の明確性及び、正確性を担保し、紛争の発生を防止するためである。また、 あらかじめ契約の内容を書面により明確にしておくことは、いわゆる請負契約の 「片務性」の改善に資することともなり、極めて重要な意義がある。 

(2)契約書面には建設業法で定める一定の事項を記載することが必要

契約書面に記載しなければならない事項は、以下の1~14の事項である。特に、 「1 工事内容」については、下請負人の責任施工範囲、施工条件等が具体的に 記載されている必要があるので、○○工事一式といった曖昧な記載は避けるべき である。
1 工事内容
2 請負代金の額
3 工事着手の時期及び工事完成の時期 
4 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
5 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは 一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は 損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
6 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法 に関する定め
7 価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等 をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
8 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する 定め
9 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与す るときは、その内容及び方法に関する定め
10 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並 びに引渡しの時期
11 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
12 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき 保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
13 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金 その他の損害金
14 契約に関する紛争の解決方法

次のページに続きます。